「日々移動する肝臓のかたちをした石」 村上春樹

今回取り上げるのは2005年の「新潮」に掲載された風変わりなタイトルの短編「日々移動する肝臓のかたちをした石」 。

再読ではあるが、記憶がバグってしまい、いつ読んだのか思い出せない。15年前のような気もするし、去年かもしれない。。。

ちなみにバグ(bug)というのは小さな虫のことで、コンピューターの回路に蛾が挟まって不具合を起こしたことから、プログラム上の問題点をバグと呼ぶようになったそうだ。(要らぬ雑学を差し込む悪い癖)

この短編のあらすじは…、いやいや、そんなものはwikipediaに書いてあるし、奇妙なストーリーなので概要を伝えても意味がないだろう。

本音を言うと、なかなか手強い短編で、解題を放棄したい気持ちになっている。

父親の人生哲学、肝臓の形をした移動する石、綱渡りなどいくつものメタファーが複雑に絡み合っている。肝臓ひとつにしても、人体で最大の臓器であること、左右ふたつに分かれていること、解毒の働きがあることなど、解釈の選択肢は複数ある。

おそらくは「職業というのは本来、愛の行為であるべきなんです。便宜上の結婚みたいなものじゃなく」「大事なのは数じゃない。大事なのは誰か一人をそっくり需要しようという気持ちなんだ」といったあたりが精髄かと思うが、あまり自信はない。

皆さんはこのブログを、移動中の電車やちょっとした休憩時間や就寝前のベッドで読んでいるのではないだろうか。くつろぎの時間に理屈っぽい話など読みたくないだろうから、メタファーの分析はこの辺でやめておこうと思う。(解題から逃げようしているのがバレバレ)

意味はよくわからずとも、この短編の好き嫌いを訊かれたら「好き」と答える。気取った会話はちょっと苦手だが、作品のムードとしては開放感があって心地好い。特にタクシーの中でラジオが流れる場面は魅力的だ。ジェームズ・テイラーの「アップ・オン・ザ・ルーフ」も心を軽くしてくれる。屋根の上は喧騒から切り離された世界一平和な場所、といった歌詞でしっかりストーリーとリンクしている。

読みが甘く、まとまりのない記事になってしまった。読解力のあまりの低さに自己嫌悪に襲われている。まあ、たまにはこういうこともあるさ。(たまにじゃないだろ) まあ、仕事が忙しいので仕方がない。(緊急事態宣言下で忙しくないだろ)

・・・おやすみなさい。

東京奇譚集(新潮文庫)

めくらやなぎと眠る女

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