『ドライブ・マイ・カー』 村上春樹

映画化するほどの短編ではないかな、というのが正直な感想。いきなり辛辣になってしまったが、そう思ったのだから仕方ない。充分に面白いし、一気に読ませる魅力はあるけど、映画化するほどではないかな。(くどいね)

乱暴にまとめると、中年の役者が地味で無口な24歳の女性を専属ドライバーとして雇い、移動中のクルマの中で他界した妻とその浮気相手だった若い男の話をする、というストーリー。

物語は回想形式で語られる。細かい描写や説明を省くことができるので、回想は短編小説に向いたスタイルと言える。地味で無口、影があって感受性が豊かな若い女性を聞き手することは、短編を書く上で好都合なのだと思う。

遠回しに批判しているわけではないので誤解の無いように。前述した通り、かなり面白い短編ではあるのだが、入魂の一篇という感じはしない。腕の確かなベテラン作家が、ささっと書き上げた小品というところだろうか。

これを映画化したいと打診されたとき、著者は少し驚いたのではないだろうか。あくまで想像だが、ちょっとそんな気がした。

映画の予告を観てみたが、専属ドライバー役の女優はイメージに近かった。男優陣はちょっと若いかな。キャラも小説と違う気がした。でも、それはそれで別物として観ればアリなのかもしれない。それにしても179分とは驚き。長いけど、アンニュイなムードが心地好さそうなので機会があれば観てみようと思う。

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