「海の変化」 アーネスト・ヘミングウェイ

1933年に刊行された短編集「勝者に報酬はない」に収められた作品。親友のドス・パソスのすすめで、パリを離れてアメリカ本土最南端のキーウェストに移り住み、2番目の妻となったポーリーンと暮らしていた時期だ。サファリへの長期旅行に出かけたり、本格的なクルーザーを購入したりと、この頃にヘミングウェイ伝説も数々生み出された。(ちなみに日本は昭和のはじめ)

「海の変化」は、全編ほぼ男女の会話で構成されている短編で、ふたりの間にある問題を少ない言葉で巧妙に表現している。微妙なニュアンスを端的に正確に描く能力において、ヘミングウェイと競える作家はいないと思えるくらいに上手い。

幼い頃に母親に女装をさせられ、女の子のように育てられた反動で、ヘミングウェイが男らしさを誇示する傾向があったという学者もいるが、「海の変化」のような同性愛への関心も、表われ方の違いはあるが同じ要因によるものなのかもしれない。

訳者のあとがきによると、この短編は南仏のカフェでたまたま見かけたカップルの会話をベースに書き上げたらしく、ヘミングウェイ自身に起きたことではないそうだ。

原題は「The Sea Change」。タイトルだけ見たら、「老人と海」のような海を舞台にしたストイックな話をイメージしてしまうかもしれないが、本作に海はまったく出てこない。sea changeという表現は、物事が180度変わってしまった時などに、There was a sea change.(大きく様変わりした。)といった感じで使う 。このタイトルも「著しい変化」的な意味だろう。

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

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ヘミングウェイの名言を原文に忠実に訳してみました。

説得力のある言葉の力で悩みを解消できるかもしません。

もしかしたら座右の銘が見つかるかもしれません。

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