「ウインドアイ」 ブライアン・エヴンソン

「ウインドアイ」 ブライアン・エヴンソン

「ウインドアイ」 は、ジャンルを超えて現代アメリカ文学の最前線に立つ作家と呼ばれるエヴンソンの「遁走状態」に続く第2弾短編集の表題作である。

奇妙な知覚のズレが生み出す違和感といい、「それ」や「そういう」を多用したぎこちない文章といい、とにかく癖が強い。

この短編では、少年時代に暮らしていた素朴なバンガローでの記憶が語られるのだが、妹と遊ぶ描写もなんだか奇妙で、ホラー的な雰囲気が漂う。ふと、少年は家の外側から見る窓の数が内側から見る窓の数より一つ多いという疑問を抱く。(これだけでも気味悪いでしょ) 祖母が話していた、風が家を覗くための窓『ウインドアイ』のことを思い出す。二人がその窓を調べようしていたら、風の目の中に吸い込まれるように妹が消えてしまう。慌てて母親を探し、少年は必死になって経緯を説明するものの、母親は「ゆっくりもういっぺん話してちょうだい」と首を傾げる。もう一度説明すると、奇妙な笑みを浮かべて母親はこう言う。

「だってあんた、妹なんていないじゃない」

怖いでしょ?

読書中、知覚の境界が曖昧になるような不思議な感覚を読者は体験することになる。

なんだか本の帯に書いてありそうなことを書き並べているだけの気がしてきた。もっと自分の言葉で感想を書かないとダメだ。

なんて言うか、エヴンソンという人は、脳内で情報の変換やシャッフルが常に起きていて、普通に書くだけで奇妙な文体になってしまうのだと思う。面白いとか感動するとか、そういった基準ではなく、とにかくユニークだ。新たなる可能性を拓く奇才なのだろうが、脳内の産物という感じがして、その独特の閉塞感に少しアレルギーを感じてしまった。(好きな人はハマると思うのでぜひご一読を)

熱烈なファンに怒られそうだが、個人的にはダーティ・リアリズムの方が好きかな。