『髪の毛』 レイモンド・カーヴァー

デーモン閣下風にはじめてみたが、酔っているわけではない。久しぶりに記事をアップするので、どういうテンションで書いていたのか思い出せずにいるだけだ。

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コーヒー一杯のつもりが、突然逃太郎の動画を1時間も観てしまっていた…

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『髪の毛』はカーヴァーの初期短編で原題はThe Hair。このわずか数ページの掌編を読むだけで、カーヴァーが初めからカーヴァーだったことがわかる。いろいろ辛い思いをし、人生に疲れてあのスタイルが生まれたのではなく、若い頃から「暗い予感に支配された息の詰まるような物語」を書く作家だったわけだ。

それにしても、へんてこりんというか、なんとも奇妙な話だ。

男は前歯にはさまった髪の毛が不快で仕方ない。でも、妻にはそれが見えない。男は仕事場へ向かうために家を出るが、いつものバス停に野良犬が小便を掛けていて思わず怒鳴りつける。仕事場まで行くには行ったが、「具合があまり良くない」と告げて早引けする。家に戻らずに小さな動物園に寄り、アメリカドクトカゲを長い時間ぼんやり眺める。帰宅後、食事をせずすぐにベッドに入る。髪の毛はまだ歯にはさまったままだ。男は真夜中に叫び声をあげて目を覚ます。妻はただ怯えるだけで、何が起きているのかまったく理解できなかった。

というストーリー。言ってしまえば、ただ前歯に髪の毛がはさまりイラつく男の話である。取るに足らないエピソードに思えるが、そこは短編の達人カーヴァー。不吉な違和感が作品全体を覆っていて、読者は崩壊の未来を想像させられる。

ネガティブな言葉は悪い結果を招くのよ、という言霊(ことだま)的観点で見ればカーヴァーは最悪の作家といえるだろう。霊的な話でなく、脳科学で実証されている言葉の暗示効果という意味で。
つまりポジティブな言葉を発すると脳はその言葉通りの行動に向かい、自然とモチベーションはアップする。免疫力を高めるエンドルフィン、やる気を高めるドーパミンが分泌され、不安に反応する扁桃体の活動も低下する。簡単に言えば、「大丈夫、乗り越えられる!」と言えばそうなるし、「もうダメかも」と言えばダメになるということ。アフォメーションというのも…

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執筆時期、カーヴァー夫妻の関係は壊れつつあり、おそらく酒量も増えていたのだろう。作品にかなりリアリティがあるが、とにかく希望のキの字もない。このブログは、私のお勧め小説をアマゾンで買ってもらうことで報酬が入ってくるという素敵な目的のもと書かれているが(正直過ぎるだろ)、カーヴァー作品はあまりに暗くて「面白いから読みましょう!」と勧めることができない。陽キャが素晴らしいとは言わないが、困難を乗り越えていくガッツというか、せめて一筋の光があればなぁと思ってしまう。カーヴァーに何を求めているんだと突っ込まれそうだが、毎度毎度そう思ってしまうのだから仕方ない。まあ、めちゃくちゃ面白くて、チャーミングなことだけは間違いないけどね。

P.S.アフィリエイト目的と書きましたがもちろん冗談ですよ。

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