『100分de名著 敗れざる者』の感想

NHKの『100分de名著 ヘミングウェイ 交錯する“生”と“死”〜“敗れざる者”』を観たのでその感想をちょっとだけ。

『敗れざる者』という短編の解釈はいろいろあって良いと思うし、教授の話で気付かされたこともいくつかあった。ただ個人的に印象に残ったのは伊集院光氏の次のコメントだ。

新聞記者の経験からまずシンプルに切り込んでいくみたいなことを心得ている感じ

徹底的に省略しているのに、「うまくいってただろう、なあ」は2回言ってもいい、ここが凄くて

言葉の仕事のヘミングウェイが、「言葉だけで理解した気になること」の意味の無さみたいなことがちょっと入っている気がして

不屈の精神とか兄弟愛とか老いとか、そういった主題云々でなく、ヘミングウェイの文体の根幹みたいところを、持ち前のメタ認知力で捉えている感じがして驚いた。こうした技法に寄った話の方に個人的には惹かれるものがあった。

『100分de名著』は良い番組だと思う。ただ、『老人と海』『敗れざる者』というチョイスはどうなのだろう。。。『雨の中の猫』とか『世界の首都』あたりを取り上げていたら、もっとヘミングウェイの本質に迫れた気もするが。。。そもそも『老人と海』『敗れざる者』ってヘミングウェイの短・中編のなかで名作じゃないしね。(言っちゃった)

無駄に敵を作りそうなのでこのへんで止めときます。

TOP