「もし忘れたら」 トルーマン・カポーティ
本当に心をつかむのが上手い作家だと思う。はじめの一文から、ナチュラルに物語の中へと誘ってくれる。読者に理解への負荷を掛けない。読み返す必要はなく、モヤモヤさせられることもない。 「もし忘れたら」(原題 […]
本当に心をつかむのが上手い作家だと思う。はじめの一文から、ナチュラルに物語の中へと誘ってくれる。読者に理解への負荷を掛けない。読み返す必要はなく、モヤモヤさせられることもない。 「もし忘れたら」(原題 […]
原題はJug of Silver。カポーティの少年時代、アラバマのスモールタウンで過ごした日々をベースにした短編だ。カポーティは母方の親族に預けられていたため、実の親と暮らしていない。この「銀の壜」の […]
「ぼくにだって言いぶんがある」というチャーミングな邦題の付いた、天才カポーティによる喜劇だ。 「夜の樹」や「ミリアム」や「無頭の鷹」とはまるでムードが異なる。「奥様は魔女」のように観客の笑い声が聞こえ […]
「感謝祭の客」は、光系カポーティと闇系カポーティという俗な分け方をするなら、前者に属する短編だ。光系は自伝色が濃くてイノセントなアラバマのスモールタウンもの。闇系はオカルト色が濃くて絶望へ向かうマンハ […]
「ここから世界が始まる」という短編は、ニューヨークの公共図書館が所蔵している未発表短編14篇を収めたトルーマン・カポーティ初期短編集の表題作である。 いきなり短編の話から逸れるが、昨日、飛行機の雑誌を […]
カポーティはあの独特の容姿のために、先入観をもって見られやすい作家だと思う。読まずに敬遠している方も多いのではないだろうか。 短編の1つか2つでいいので、ぜひ読んでほしい。 私が偉そうに評価するのも何 […]
心が震えるほどに素晴らしい。大人が書いた子どもの話ではなく、完全に子どもの心で書かれている。好みは人それぞれだが、私にとってはパーフェクトな短編だ。 カポーティは1924年、家庭を顧みない詐欺師まがい […]
私事になるが、数年前に一人でニューヨークへ行き、マンハッタンのホテルに泊まった。割と自由時間があったのだが、特にすることがない。買い物には興味がなく、食事も適当に済ませた。セントラルパークを走りたかっ […]
原題はMiriam。 冬のニューヨーク、マンションに住む61歳のミセス・ミラーの身に起きる不可解な出来事を描いた短編だ。はじめの1ページを読むだけで、静まり返ったような孤独な暮らしが、リアルに映像とし […]
暗いよぉ。。。怖いよぉ。。。 いかにもカポーティという感じで、完全に内側に向かって閉じている。闇との親和性が高い作家(闇と仲良し)なので、孤独な静寂が作品全体を覆っている。文章は艶やかでとても美しい。 […]