独断と偏見の作家紹介 ヘミングウェイ編

このブログでよく取り上げる作家たちについて、どう感じているのかを少し書こうと思う。私の個人的な思いなど、皆さんにはどうでもいいことかもしれないが。。。

はじめに断っておくが、客観性のある作家紹介ではない。主観性しかない。作家のプロフィールも作品一覧もない。個人的な思いを好き勝手に書きちらかすだけなので、ご承知おきいただきたい。

初回はヘミングウェイ。

アーネスト・ヘミングウェイ

マッチョなそのイメージと違い、とても傷つきやすいナイーヴな感性の持ち主だ。批判されると、仕返しせずにいられない執念深さがある。意外にもタイプライターの前で血を流すほどに格闘しつづけた職人気質の作家でもある。その結果として、持って生まれた才能や運だけでは到達できないゾーンに何度も入ることができた。世の中では「行動の人」というイメージが強いと思うが、私には「推敲の人」だ。

ただし、はっきり言って人間的な魅力はあまりない。あくまで私個人の見方だが、ヒーローとして憧れたり、人柄に魅了されたり、生きる上での指針にはならない人物だ。欲望に従って好きに生き、自らの激しい感情を制御できず、大事なことから逃げてしまった人、背負うべきものを背負わなかった人、という負のイメージが強い。

絵になる容姿(ハンサムで長身)と、戦争やら狩猟やらで世界を駆け回る行動派のイメージ、「誰がために鐘は鳴る」「武器よさらば」などロマンチックなタイトルの作品群、そうしたものがミックスされて出来上がった虚像がヘミングウェイだと思う。

人間としての器があまり大きくないため、男が惚れるような男でもない。(ちょっと言い過ぎかな) 「ヘミングウェイ最高!」という人がいたら、それは虚像を見ているだけか、同じように欲望に生きるタイプの人間かどちらかではないだろうか。(これは言い過ぎだわ) 

それでも、やはり作品は素晴らしい。ヘミングウェイの最高傑作は、私の中では僕の父蝶々と戦車という短編である。こうした名作を遺した人だから、人としてどうであれ離れることができない。単なるエゴイストと片付けるわけにはいかない。

昔、マイク・タイソンがヘミングウェイについて「人間としてはダメだが、作品は良い」と発言していたが、同感だ。(タイソンは刑務所でかなり本を読んだらしい)

かなり悪く書いたが、複雑な家庭環境に育ち、気の毒な面もある。デリケートすぎてヘミングウェイ自身がコントロールできないことも多かったと思う。

難しい人だなぁ、と読むたびに考えさせられる。

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