独断と偏見の作家紹介 オコナー編

フラナリー・オコナー

初回はヘミングウェイを取り上げたが、今回はフラナリー・オコナー。威張って言うことではないが、きちんとしたプロフィールや作品紹介を求めている方の期待には応えられそうもない。応える気がないとも言えるが。。。

私はオコナーの熱烈なファンとは言えないし、多感な頃に影響を受けたという訳でもない。それでも、私の中である意味で君臨している。他の作家と比べてストーリーが面白いとかそういった相対的なものではなく、唯一無二の絶対的な存在だ。とにかく、理屈抜きに凄みを感じる。

オコナーは20代半ばで難病を発病し、39歳で没している。つまり、ほぼ全ての作品は若い女性によるもなのだが、ほとんどの男性作家を情けなく見せてしまう強烈な力を放っている。(私はそう思う)

誤解を恐れずに書くが、この凄みは女性特有のものという気もする。男性にありがちな感傷というものがまるでない。どの短編にも、生ぬるいセンチメンタリズムを寄せつけない、ごまかしを許さない厳しさがある。ここまで容赦のない強さを持った男はいないのではないだろうか。(ジェンダーの話をしているのではなく、脳科学的な話としてね)

もちろん、その強さを私はポジティブに捉えている。俗な言い方になるがカッコイイ。損得勘定で忖度したり、ムードに流されたり、欲望に負けてしまう人ではないから、人として信用できる。

オコナーは、閉塞感で息が詰まりそうなキツイ場所にいつも居た。最後まで居つづけた。こちらがどこかへ旅に出て久しぶりに戻ってみると、まだそこに居る。そういう感じがする。快適な場所へ移ることも、守られた場所へ逃げることもできたのに、それをしなかった。自らの意思で、人間の奥底のグロテスクなものを直視しつづけた。

小説などただのぼんやりとした作り話で、曖昧でダラダラしていて読む気にならない。今の世の中、そういう人は少なくないと思う。小説を読むより、専門家の知見や報道などリアルな情報の方が役に立つという考えは理解できる。でも、オコナーの小説を読んだ時の、心の奥の方に強い芯のようなものが生まれる感覚はノンフィクションでは得難い。

なんだか観念的な話になってしまった。私がまだオコナーのことをよくわかっていないこともあり、上手いまとめの言葉も見つからない。ただただ、もっと読まなければと思う。

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