「マイ・ロスト・シティー」 スコット・フィッツジェラルド

夢は儚く消えてしまった、というフィッツジェラルドらしい、せつないエッセイだ。

ニューヨークという街との関わりを通して、成功と喪失、結婚など著者自身の人生について書かれている。私の中では、フィッツジェラルドは通俗的な作家で、狂騒の時代に飲み込まれ流されていった人というイメージが強い。街へと繰り出し、羽目を外してどんちゃん騒ぎをし、数え切れないほどのきらびやかな逸話を残し、最後には擦り減って虚しさだけが残る。

このエッセイには著者らしい二面性が出ていて、自身の人生を表裏から敏に感じている。いろんなことを制御できていないアンバランスさや脆さもあり、そこが人間的で魅力につながっているようにも思える。

思い出だけを残して、何もかもが消えてしまった。

この一文は、象徴的で心に残った。

ただ、正直なところ、個人的にはあまり響くものがないかな。短いエッセイで、ここまで饒舌に人生を語れるのは流石だと思うし、とてもムーディで読書の愉しみもくれる。でも、なんていうか、芯が無いのね。。。バブルって感じで、はじけた後に何も残らない。自分のお楽しみのことだけ考えていた人生、って思えてしまう。まあ、そのあたりの薄弱さもフィッツジェラルドの魅力なのかな。。。

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