「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」 村上春樹

タイトルが、正直言って私の好みに合わない。。。

「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」は、長編「1Q84」のベースになった短編で、著者本人によると、山手線の車中で見かけた広告ポスターのモデルの子に理不尽なくらい激しく惹かれことが執筆のきっかけになったそうだ。それはもう胸が震えるほどの運命的な出会いだったとのこと。

私が読んだのは、大幅に加筆修正された『村上春樹全作品 1979〜1989』(1991年)に収録されたバージョン。

原宿の裏通りで、胸が地鳴りのように震える100%の理想の女性とすれ違う。あのとき、もし声をかけるならどのような言葉が良かったのか、それを空想するという洒落た恋愛おとぎ話といった趣の短編だ。

まだ世の中が疲れてなくて、瑞々しさに溢れている。女性受けはかなり良さそうな短編と思うが、おそらく男性受けはいまひとつだろう。「安全第一」の今の時代ならまだしも、昭和の男たちからするとちょっとばかり受け入れ難い甘味がある。

何と言ってもタイトルが、君に胸キュン、という感じでなかなか濃い〜。

私の中に、この短編を魅力的と思える感性がまったくないとは言わないが、拒絶反応が少しばかり出てしまった。

30年以上も前の作品なので、夢見がちな当時の空気を考えると、まあわからなくもないかな。。。

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