「予告された殺人の記録」 ガブリエル・ガルシア=マルケス

時間をかけて構成を練り、丹念に書き上げた濃密なジャーナリズム風小説である。

簡単に説明すると、南米の閉塞的な田舎町に暮らす民衆が、昔の殺人事件の顛末を語っていくという小説。1951年に実際に起きた事件を取材して得た情報を元に、重層的なテクストでモザイクを完成させている。

登場人物がやや多く、似たような名前が次々と出てくるため、集中して読まないと置いていかれてしまう。(何度か二度読みした) しっかり読み進めていくと、その緻密で巧みな構成に引き込まれていく。読後にすぐ再読したくなる、そんな奥行きのある不思議な魅力を持っている。

私は東京育ちであるため、田舎の共同体の内側で生きたことはない。(私のようなしきたりが嫌いな天邪鬼には向かないことは暮らさなくてもわかるが) 「予告された殺人の記録」 の登場人物たちの言動からは、共同体に潜むウエットな心理、人を縛るローカルルール、根強い差別意識や妬みなどが感じ取れる。

地方の小さな町に生まれ育った人、あるいは今暮らしている人にとっては、よりリアリティのある読書になるのではないだろうか。誤解を恐れずに言うなら、最後の殺人の場面、そして共同体が崩壊していく様子にある種のカタルシスを感じる人もいるだろう。

興味深い表現のスタイルであるし、よくプロットが練られている小説だと思う。言外の意味もいろいろと想像させられる。でも、これは私だけかもしれないが、他の読書とは違う重たい疲労感を覚えた。名作であることに異論はないが、あえて中心を描かず、まわりから炙り出していく手法にもやもやしたものを感じ、それが途中からストレスになっていった…

(と、ここまで記事を書いてきたが)

ダメだ、今日は脳の調子が悪い。。。何か詰まってしまったように回らない。自粛疲れだろうか。

締めがいい加減な記事になってしまうが、こういう日はムリせず早く寝た方が良さそうだ。

ゴメンなさい。そして、おやすみなさい。

TOP