chess.comの画面上には、対局者のアカウント名の横に国旗が表示される。カウントしたわけではないが私の肌感としては、インドネシア、フィリピン、ウクライナ、インド、トルコ、アメリカ、カナダ、フランス、イギリスあたりが多いかな。意外とチェス大国ロシアは少ない。韓国のプレイヤーもあまりいない。日本人はほぼいない。たまに当たるとなんとなく気まずい気分になる。(海外旅行中に日本人に遭遇するような感じ)
この数年、アメリカでのチェス人気が急速に高まっているそうだ。Netflixのドラマ『クイーンズ・ギャンビット』(2020年)の影響かと思うが、Chess.comやlichess.orgといったプラットフォームが普及し、コロナ禍での外出自粛がそこに拍車を掛けたのだろう。アメリカチェス連盟の発表によると、2020年の年間会員登録者数は前年比で14%増。2021年以降もその勢いは続いているとのこと。知育や脳トレといった教育的な価値も見直されているのかもしれない。
日本国内でのチェス人気はどうなのか?
チェス連盟がいろいろとイベントを開催しているので競技人口は増えているかもしれないが、波が来ているという感じはしない。チェス実況動画の登録者数などもそれほど変わっていない気がする。理由としては、日本での将棋人気の高さがあるのは間違いない。
その将棋は順調なようで、国内にとどまらず国際的な人気を得つつあるようだ。欧米での日本ブームが追い風となっているのだろう。
こういうことを言うと天邪鬼に見られそうだが、日本国内でチェスが普及するかには関心がない。ただ、OTB(対面でのリアル対局)の場が増えてほしいので、その意味ではもう少し盛り上がってほしいとは思う。私個人としては、連盟が主催している大会などに出る気はなく(ムード的に馴染めない)、もっとフランクに対局できるバーなどができてほしい。ビール片手に、棋譜など書かなくていいような緩いパブ的な空間が理想だ。大画面でNBAの試合など流してくれたら、それはもう頻繁に通うと思う。
日本におけるチェスが、インテリたちのマウント取り合い頭脳ゲームではなく、酒場の気さくなスポーツに変わってほしいと心から願っている。正直なところ期待はできないので、英語堪能になって外国人が集うバーへ通おうと思う今日この頃です。