今回は、ヘミングウェイのインタビュー(「パリス・レビュー」誌1958年春号より)の中で気になった箇所を抜粋して紹介しようと思う。作品や創作に関するスタンスだけでなく、できるだけ正確に答えようとする作家の繊細さが伺え、とても興味深い。
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一つの短編小説の構想は、どの程度まで頭の中で完成しているものなのですか?テーマやプロット、あるいは人物像などは書き進めるうちに変わっていくものなのでしょうか?
ヘミングウェイ:「ストーリーがわかっているときもある。あるいは進むにしたがって、すべてが変化していくこともある。それが、ストーリーを創り上げていくという運動だ。時には動きが実にゆっくりとしており、動きがないように思えることもある。でも、いつだって変化はあり、運動はあるものだ。」
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あなたの小説に象徴性があることを認めますか?
ヘミングウェイ:「批評家たちが見つけているのなら、象徴性はあるのだろう。そのことについて話すのも訊かれるのも好きじゃないので、もうよいかな。長編でも短編でも、それらについて説明しろなどと言われなくとも、書くだけで充分に大変なのだよ。」
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あなたの作品の登場人物は、例外なく実生活からとられたものですか。
ヘミングウェイ:「もちろん、そんな訳はない。何人かは実生活から生み出されたが、ほとんどは知識や理解、人々に関する経験から創り出したものだ」