フレンチカフェで発見したもの

祝日の月曜朝に、妻と近くのカフェへ出掛けた。夫婦で経営しているお店で、奥様はフランス人。店内は、フランスのアートや人形などで飾られている。
本棚にジョルジュ・シムノンのメグレ警部の児童本(ひらがなばかり)があった。フランスの少年たちはこういうのを読むのかぁと思いをはせつつ、美味しいエスプレッソをいただいた。(何だかセレブっぽいでしょ)
私の場合、シムノンというと「倫敦から来た男」のイメージが強く、哀しく暗く霧深い北フランスが思い浮かぶ。なので、このほのぼのした表紙を見てちょっと意外に感じた。
で、そのあと、こども向けの「プチ・ニコラ」と手に取ったのだが、これがべらぼうに面白い!少年の一人称で書かれているのだが、やんちゃで痛快だ。とてもフィジカルで、シンプルで、いい意味で邪悪で、私の好みに見事に合致している。
児童書って、間違った先入観かもしれないが、いかにもという偽善的なものが多い気がする。嘘くさい上っ面のやさしさで覆っていて、世の親たちや幼稚園などに買わせようしているだけのマーケティングの産物みたいな本ばかり。書店の児童書コーナーを歩いてみると吐き気がしてくる。(ちょっとばかり毒舌が過ぎるね) 保守的な親が多いから仕方ない面もあるが、魂のない本を子どもに読ませても意味がないと思う。豊かな心など育つはずもない。
でも、「プチ・ニコラ」はいい。まだ冒頭しか読んでいないが、残酷で邪悪で、でも裏がなくて爽快で、そんなこどもの普遍的な素晴らしさを思い出させてくれる。イラストもチャーミング。近くの図書館に行ったが置いていなかったので、またフレンチカフェに行って続きを読もうと思う。待ち遠しい。
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