アメリカ、好きですか?

アメリカ、好きですか?

私事だが、数年前に一人でNYへ行った。ニュージャージー行きの臨時バスに乗ろうとした時のこと。マンハッタンの巨大なバスターミナルで迷子になっていた私は、案内所へ向かった。

若い兄ちゃんがカウンターを離れて女の子と駄弁っている。煙たがられている気もしたが、こっちが遠慮する必要はないので訊いてみた。

「イーストラザフォード行きのバスはどこから…」と言い掛けた途端、訛った早口で捲し立てられた。

「You **** over  *** thirty-****, you **** out of **** there」

「えっ?」と聞き返すと、「二度は説明しない、終わりだ」と無下に断られた。過剰サービスに慣れきっている日本人には、驚きの接客態度である。

某ファーストフード店では、注文したチーズバーガーを放り投げられた。ブロンクス寄りの治安の悪い地域ではあったが、まさかフリスビーのように商品を投げるとは。。。「お席までお持ちします」に慣れた日本人には、またしても驚きの接客態度だった。

もう一つ。深夜2時頃にスーパーのレジに並んでいた時、前のオジさんがレジのおネエさんに両替を頼んだ。すると、「両替はアタシの仕事じゃない、さっさとそこをどいて」という強気な一言「かしこまりました、500円玉が入ってもよろしいでしょうか?」といった過剰サービスに慣れている日本人には、これまた驚きの接客態度である。

数日滞在しただけでこんな調子である。こういったエピソードばかり書いていると、アメリカ嫌いと思われるかもしれないが、そうではない。洋服屋でもホテルでも露骨に無愛想な態度をされたが、どこか心地好さを感じていた。不思議と腹も立たなかった。

今のアメリカが良い国とはとても思わないが、基本的に人は緩いし、何よりわかりやすい。賛同は得られないだろうが、「おもてなし」の方が私は苦手かもしれない。見えないところでひっそり何かが動いているような感じがして、薄気味悪く思えてしまうのだ。(非国民とか言わないように)

何を書いているのかわからなくなってきたが、私はわかりやすいものが基本的に好きだ。小説にしても、映画にしても、音楽にしても。ウエストサイドストーリーのようなミュージカルが特に好きだ。

本当に、何を書いているのかわからなくなってきたので、今回はこれでおしまい。

「バースデイ・ガール」 村上春樹