イライラすること

イライラすること

私は、同時多発的にタスクが発生する状況があまり好きではない。

例えば、原稿のライティングに集中している時に宅急便が届くとか、仕事が山積みの時に保険の更新の電話がかかってくるとか、気持ちの切り替えを急に迫られると心が乱れることがある。もちろん宅急便や保険会社の人にはまったく非はないので、そうした感情を表に出したりはしないが、やりすごしてしまいたくなることは少なくない。(なんだかんだ逃げずにちゃんと対応していますが)

タスクの重なりが限界を超えると、言動に怒りが出てしまうこともある。

例えば締め切りに追われていて、食事をする暇もない。デスクの上は散らかっている。理不尽な仕事の修正も入ってきた。近所の中学生がふざけて絶叫している声がうるさい。口内炎が痛い。そこに勧誘の電話が掛かってきたりすると、キレそうになる。

 

「はい、もしもし」

「○○様のお電話で間違いないでしょうか?」

「そうですが」

「今、よろしいでしょうか?」

「何でしょう?」

「ありがとうございます」

「何でしょう?」

「本日はお墓のご案内でご連絡差し上げました」

「・・・」

「新しい墓地のご案内でして、少しご説明させていただけばと」

「電話で墓買う人います?」

「素敵な墓地が完成しましたので、お知らせだけでもと思いまして」

「だれの墓の話ですか?」

「いえ、そういったことではなく…」

「うちの電話番号、どうやって調べました?リストとかあるんですか?そのリストにクリスチャンってことは書いてなかったですか?」

「ガチャ・・・・・・・」

切られた、あーもーなんか気分悪いなあ。折角、仕事に集中していたのに、やる気削がれたわ~。

「今、仕事中なので」と一言で済ませればよかったのに、なんだかぐちぐち言っちゃったし、クリスチャンでもないし、後味が悪いな~

 

てな感じで心が乱れる。

これは私の性格(病気?)の問題なのだが、中にはバタバタが平気な人もいるし、むしろマルチタスクを好むタイプの人間もいるだろう。自分で決めた忙しさならいいのだが、突然の電話や訪問などに対し、うまいことスイッチを切り替えられず苦労することが多い。ちょっと調べてみたが内向的な性格の人間はどうもマルチタスクが苦手らしい。逆に一つのことを集中してやり続けるシングルタスクは得意だったりするので、欠点というよりは個性だと捉えたい。

私のマルチタスク対策(早口言葉みたいで言いにくい)はとてもシンプル。自分のこうした性格を意識する、それだけだ。細かいルールやメソッドに落とし込まない。「自分はマルチタスクが苦手」ということを自覚し、あとは臨機応変に対応する。これだけでかなり違ってくるものだ。

アンガーマネジメントと呼ばれる手法で、怒りの持続時間は短いから数秒我慢すればいいといったテクニックがあるが、なんだか違和感を覚えてしまう。もっと継続する怒りもある気がするし、腹が立っている時に「1,2,3・・・」とカウントしている自分が不自然に思えて仕方がない。(私には合わないという話なので、効果を上げている人は続けてくださいね)

もしあなたが自分の弱点(例えば短気だとかルーズだとか臆病だとかお調子者だとか)をどうにかしたいのなら、それを意識することが重要だと私は思う。手帳にリスト化して毎朝チェックするとか、何か言葉を3回唱えるとか、具体的なテクニックに落とさない方が良い気がする。テクニックに頼ると本質が抜け落ち形骸化してしまうから。

なんだか、ちょっと疲れてきた。。。

これからコーヒーを淹れ、20分ほどしたら仕事をはじめるとしよう。それほど気が乗らないが、手を動かせば自然と仕事モードになるだろう。今月は仕事が割と詰まっているが、来月はコロナの影響で暇になりそうだ。この自粛中、なんとなく過ごす人と強い武器を手に入れる人とわかれる気がする。こういう時だからできることを、空いた時間に考えてみようと思う。

「夜の精」 ジャック・ロンドン

「フィリップ・マーロウの教える生き方」(村上春樹訳) マーティン・アッシャー編