「働き方1.9」ヒロシ

「働き方1.9」ヒロシ

一昨日、都内の某カフェで原稿を書いていると、斜め前の席でタレント(YouTuberの)ヒロシ氏がスーツの男性と打ち合わせ(多分)をしていた。プライバシーに関わるのでこれ以上は書かないが、穏やかで柔和な好印象を受けた。
私はテレビをあまり観ないが、「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」と「NHK杯」だけは録画予約して観ている。これも何かの縁かと感じ、帰りに書店に立ち寄り、ヒロシ氏の著書「働き方1.9」を購入した。

ということで今回はその感想。小説以外の本を取り上げるのは初めてだが、これを機に幅を広げようと思う。

「働き方1.9」は、しがらみを脱する働き方・生き方について書かれた指南書である。

マッチョな精神論ではなく、アクションを起こすための手引き書と呼べる内容だ。結論からいうと、行動の阻害要因を剥ぎ取ってくれるポジティブな良書だと思う。(Amazonでの評価もかなり高い)
別の言い方をするなら、常識に囚われているせいで動けずにいる自分に気づかせてくれる。今の私にとって重要なメッセージが、この本には詰まっていた。

例えば、先を見通すことの難しい今の時代、初めに特化すべき対象を決め込むべきではないという。複数のタネを蒔き、それらを適度に育て、結果的に上手く行ったことのスペシャリストになればいいのではないかと。ヒロシ氏自身、今はソロキャンプのYoutuberとして知られているが、英会話、インターネットラジオ、バンド、飲食店経営などいくつものタネを蒔き、たまたま成功したのがソロキャンプだったとのこと。「俺にはこれしかない!」といった決意は、リスクを生むだけだと指摘する。

「苦労は買ってでもしろ!」というのも迷信で無意味な苦労は避けるべき。自分を追い込まず、逃げるように何かを始め、逃げ切った先に成功があると書いている。完璧主義も行動の妨げになるし、新しいことに反対しがちな身内の声もスルー、あるいはブロックした方がいいという。といった具合に実用性の高い行動喚起の知恵がたくさん詰まっている。

繰り返すが、この本のコアは、「行動の妨げになるものは排除しよう」「ハードルを下げてこっそり無限実行しよう」といったものだ。「逃げる」とか「こっそり」といったネガティブな言葉にくるんだボジティブマインドが根底にある。

書店を3件まわり、この本を買うことができて良かった。

「人は、なぜ他人を許せないのか?」 中野信子