ヘミングウェイには創造力がない!?
- 2020.04.18
- アーネスト・ヘミングウェイ

テレビやネットで、やたら何にでも批判・意見する人をよく目にする。コメンテイターやタレントに限ったことでなく、一般人の見解や持論もコメント欄には溢れ返っている。俗に御意見番と呼ばれるような連中で、一家言ありとばかりに自説を吐き出す。
これは今にはじまったことでなく、昔から茶の間や飲み屋には「俺に言わせりゃぁ~」と何事も斬りたがる連中は大勢いた。舞台がネット上に広がっただけで、メンタリティは変わっていない気がする。
世直しのため真実を拡散しようと努めている人も中にはいるだろうし、このことだけは黙っていられないと激しい怒りを持って本気で訴えている人もいるとは思う。でも、残念ながら大多数は、皆を感心させようという承認欲求や、正論による引き摺り下ろしなどで、ひと通り溜飲を下げた後はきれいに忘れてしまうような輩ではないだろうか?(好戦的な書き方だな)
私は、知らないことは語りたくないし、語っている自分も好きではない。
当事者であったり、心から痛みを感じていたり、以前から関心を抱いてきたこと、汗をかいて自ら調べたことなら、何かしら語ることもできるだろう。でも、知らないこと(昨日今日知ったこと)については表面的なペラペラのことしか言えないと思う。
(ここまでヘミングウェイの話をまったくしていない…)
ヘミングウェイは、基本的に知っていることだけを小説にした作家だ。「知っている」というのは、自らが体験したことに限らず、見聞きして強く印象に残ったこと、心から興味を抱いたことなども含まれる。つまり、知識の話ではなく「感じたか否か」ということが重要だ。深くリアルに感じたことは、深くリアルに描くことができるので、ヘミングウェイの小説には臨場感が溢れているのだと思う。
私はSF小説を読まないし、SF映画にも関心がない。知らない宇宙のこと、見たこともない未来のことだからほぼすべて創造するしかなく、結果的にどうしても上辺だけの薄っぺらなものになりがちだからだ。(反論もあると思うが)
創造力の軽視だと怒られそうだが、その通りかもしれない。(ヘミングウェイもずっとそう批判され続けてきた) そう、私も創造力を軽視している。想像力は重視しているが。
御意見番になるのも、創造力に重きを置くのも、もちろん個人の自由。私だって、時にはわかったようなふりをすることがある。(特に仕事の中で) でも、このブログでは知っていることだけ、本当に感じたことだけをこれからも書いていこうと思う。