隣の席の男女の会話

隣の席の男女の会話

今、ドトールで仕事をしている。

隣のテーブルでは、カジュアルな服装の男女が打ち合わせをしている。アラフォーくらいだろうか。はじめは遠慮がちに敬語で話していたのだが、音楽の趣味が近いことがわかると、

「えっ、あのバンドのライブ観たの?」

「行った行った、昨日の夜もずっと聴いてた」

「いちばん好きなバンド教えて」

「●●●かな」

「マジで!俺、全部iPhoneに入っているし」

「■■■も好き、学生の頃に飛行機乗って東京までライブ行ったくらい」

「へぇー、俺も横浜で観たよ。▲▲▲も聴いたりする?」

「めちゃくちゃ聴くし、カラオケでも歌うし」

「ウソ!今度聴かせてよ」

「いつでもOK、わたし暇だし」

てな感じで盛り上がっている。

もう一時間近くずっと音楽の話をしている。未婚っぽい二人なので、このまま付き合いそうな勢いだ。

趣味も気も合う二人。弾む会話。もしかして恋が芽生える瞬間を目の当たりにしているのかな。(気持悪いよ)

一時間半くらい経った頃、男性がトイレへ立った。

3分ほどして席に戻る男性。

んっ?

あれ? 二人ともテンションが低いぞ。あれだけ盛り上がっていたのにどうしたのだろう。まあ、静かでいいけど。

その後、ポツポツと仕事の話をし、10分ほどして二人は店を出た。

何があったのだろう?

 

・・・Thinking Time・・・

 

! そうか、そういうことか。

二人の間には音楽という共通項があった。同時代を生き、同じようなバンドに思い入れ、同じような曲を聴いて育った。だから、すぐに打ち解け、盛り上がった。いつも一人で聴いていた音楽のことを誰かと共有できる、それが新鮮で自然とテンションも上がった。でも、音楽の話をある程度し尽くすと、他に二人をつなぐものは無かった。お互い相手の人柄に惹かれていたわけではないのだ。

なんだか寂しい話になってきた。

共通の趣味を持つ夫婦をたまに見かけるが、おしどりに見えて大抵はどことなく息苦しそうだ。(偏見だろ)
二人仲良くテニス、二人仲良くマラソン、二人仲良く山登り、そういう連中が漂わす特有の暗さがある。(完全に偏見だ)

アメリカ人の夫婦が「愛しているよ」「私も」と言ってから電話を切るのを見ると、表面的な結びつきにうら悲しさを覚える。(もう趣味の話でもないし)

なんの話をしているのか見えなくなってきた。

とにかく、趣味でつながっているカップルは、見た目より関係が希薄ってことを確認できた。

確認できたのかな。。。

PS. 今回の記事は酷いね。ただの戯言なので真に受けないでいただきたい。ちょっとした冗談ですから。



「泳ぐ人」 ジョン・チーヴァー