隣の席の会話

隣の席の会話

原稿作成のためにマクドナルドへ入った。しばらく静かに作業できていたが、保育園へ子どもを送り届けた3人の若いママが隣のテーブルに座った。20代後半で最近までOLをしていたような生活感のない感じだ。

聞きたくもない会話が耳に飛び込んでくる。

保護者会の話、園長先生の話、催事の役割分担の話、ミキちゃんの話、ミキちゃんのママの話、ユリナちゃんの話、ユリナちゃんのママの話etc.

実際的な話題でエンドレス・トーキング。安倍総理の訪朝や高齢者ドライバー、ルノーと日産の統合といった社会的なネタはゼロ。

要は、私には本質が見えていて、バランス良く的確に行動しているという自慢話をして、ゆるい肯定感と連帯感を得る。その繰り返しだ。(えらく辛らつな書き方になってしまった)

若いママたちが帰った後、60代と思われる女性二人が隣に座った。介護マネージャーの話、兄嫁の話、霊園の話、振り込め詐欺の話、壊れた電子レンジの話・・・20代のママたちとは話題はかなり違うが、マインドはほぼ同じに思えた。

実際的な話題を延々とつづけ、ゆるい肯定感と連帯感を得る。そこも同じだ。

もう一度言うが、聞く耳を立てていたわけでない。声が大きいから、聞こえてきてしまう。人の会話にケチをつけたくはないが、爽やかさがないと感じた。

それに比べ、私と代理店営業マンとの会話は違う。

営業マン「きのう、呑みすぎて家のトイレで吐いちゃって。便器の水が顔に跳ねて、あれ嫌ですよね。そういう時、どうしてます?」

私「どうするもなにも、吐くのに必死だから、意外と平気だったりするよね」

「確かに!普段は我慢できないけど、ああいう時って、気にならないですよね」

「普段?普段、便器の水が顔に跳ねるシチュエーションってある?」

「いやいや、ものの例えですよ、例え」

「ものの例え? 日本語、おかしくない?」

「えっ、そうですか?」

若いママたちやおばちゃんたちの会話の方が数段マシだね。爽やかさもないしね。でも、後味はこっちの方が良いと思うけどな…。

 

「海流の中の島々」 アーネスト・ヘミングウェイ