もし、あの時…

もし、あの時…

最近、行動する人と行動しない人、先へ進む人とそこに止まる人の差異について考えている。

人間の『脳』は基本的に変化を恐れる。何かを変えようとしたり、新しいことを始めようとすると、危険を回避するため猛反対してくる。

例えば、あなたがトライアスロンに挑戦しようと思い立ったとする。あるいはイタリア語の勉強でもいい。ソムリエの資格取得でも、パティシエへの転職でもいい。とにかく何か新しい可能性へ向かおうとした瞬間、脳は次のような声で止めに入る。

「今の安定を捨てると後悔するぞ。失敗のリスクをきちんと考えなきゃ」

「きっと恥をかくことになる、後々までずっと笑われるかもよ」

「長く険しい道だぞ、どうせすぐに飽きるに決まってるさ」

「上手く行っても叩かれるだけ、成功者が幸せになれる時代じゃない」

あの手この手でブレーキを踏ませ、可能性を閉ざしてしまう。いわゆる、メンタルブロックと呼ばれる思考だ。

親や周囲の人の言葉が、こうしたネガティブな発想を引き出すことも多い。

「夢みたいなこと言ってないで、いい加減に大人になりなさい」

「それってさ、あなたには全然向いてないと思うよ」

「わざわざ疲れるようなことをさ、お前もよくやるよね」

「100%ムリ、挫折した奴を山ほど見てきたからわかる」

こうした消極的・否定的な言葉を耳にすると、「きっと上手く行かないだろう」という発想に支配されてしまい、思い立った時のテンションは消え失せてしまう。

しかし、メンタルブロックによってリスクを回避できるというメリットは否めない。

行動を起こさなければ、落ち込むことも、疲弊することも、恥をかくこともない。

勝負しなければ、負けることはない。

テストを受けなければ、落ちることはない。

山に登らなれば、滑落することはない。

告白しなければ、振られることはない。

発言しなければ、失言することはない。

消極的な思考こそが、穏やかな安定を約束してくれるのだ。それはそれで素晴らしいことと言えるのかもしれない。

 

メンタルブロック万歳!ネガティブ思考万歳!

下手な挑戦をやめて、消極的に生きよう!

と言いたいところだが、ひとつ大事なことを書き忘れていた。

リスクを回避すると、確かに失敗しないし、恥をかかずに済む。でも、何年後、何十年後に「あの時やっておけば良かった、今からじゃもう遅いけど…」「もし思い切ってアクションを起こしていたら、今どうなっていただろう?」という後悔の念が湧いてくる。

実は、この感情がもっとも辛く苦しいらしい。

落ち込むのも恥をかくのも一時のことだが、後悔の念は消えずに燻り続ける。

「もし、あの時…」

そんな思いと共に老後を生きなければならないなんて、想像しただけでも憂鬱になる。

メンタルブロックを外すには、小さなことを少しずつ実行するのが良いそうだ。

慌ててはいけない。一気に動かしてもいけない。

楽しいと思えることを、ベイビーステップ(よちよち歩き)で、少しずつ行動に移す。脳の可塑性によって、メンタルブロックは徐々に外れていくそうだ。

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今回の記事を自分で読み返してみたが、なんか胡散臭いね。

役立つ記事を書こうとして、胡散臭く思われるのは本望ではないが、まあ自分の思考を少し整理できたので良しとしよう。

今年のモットーは「よちよち行こう」で決まりかな。

「人は、なぜ他人を許せないのか?」 中野信子

「海流の中の島々」 アーネスト・ヘミングウェイ