「銀の壜」 トルーマン・カポーティ

「銀の壜」 トルーマン・カポーティ

原題はJug of Silver。カポーティの少年時代、アラバマのスモールタウンで過ごした日々をベースにした短編だ。カポーティは母方の親族に預けられていたため、実の親と暮らしていない。この「銀の壜」の主人公である少年も、叔父の元でドラッグストアを手伝っているという設定だ。母親の再婚後にニューヨークへ移り、「ミリアム」や「夜の樹」で描かれているダークネスへと親和していくことになるのだが、「銀の壜」にはまだ無垢で温かなムードが漂う。

ライバル店に客を取られ、主人公の叔父さんが経営するドラッグストアはすっかり閑古鳥。空き壜に5セント玉と10セント玉を詰め、いくら入っているか当てた人に全額プレゼントという奇策で逆転を狙う。これが功を奏し、店は大盛況。貧しい少年とその妹が、何としてもお金を獲得しようと、毎日店に来てはいつまでも壜を見つめていた。

という、素朴でちょっとせつない話だ。回想形式の一人称をとっているが、あくまで観察者という感じで主張しない。子どもの無垢な世界っていいよね、とまとめて終わりにしたいところだが、この短編は実に謎めいた推理小説なのだ。

ネタバレになるが、結果的に貧しい少年と妹は賞金を手にする。でも、そこには不正の匂いがプンプンしている。この話のキーマンは、ハムラビという歯医者の真似事をしているエジプト人だ。彼は、なんらかの理由でこの兄弟に勝たせたかった。そして、裏で動いた。それを感じさせるような描写がちりばめられている。(あまり自信がないけど合ってますよね?)

でも、なんていうか、こういう謎解きはあまり好きではない。面倒くさいし、どうでもいい気がして。

「面倒くさいとは何事だ!」「どうでもいいとはなんて言い草だ!」と叱られそうだが、謎が解けたところで衝撃も感動も特にないだろうし、あまりそこには興味が持てない。細部にあまり寄り過ぎると「木を見て森を見ず」な感じがするというか。。。

本音を言うと、この短編はグッとくるものがなかった。かなり巧いとは思うのだが、カポーティにしては退屈と感じてしまった。理由は自分でもよくわからない。ちょっと作り話っぽくて奥行きを感じなかったし、まあ、やはり好みの問題かな。

なんか、話がグダグダしてきた。ちょっと疲れているのかもしれない。これから銀座で仕事だ、頑張ろう。