ヘミングウェイ 名言(原文に忠実に再翻訳しました)

ヘミングウェイ未発表作品 A Room on The Garden Side

ヘミングウェイ未発表作品 A Room on The Garden Side

アーネスト・ヘミングウェイの未発表作品が米誌ストランド・マガジンに掲載されたそうだ。第2次大戦中の1944年、ナチスから解放されたパリが舞台とのこと。タイトルはA Room on The Garden Side。そのまま訳すと「庭側の部屋」となるが、自宅ではなくリッツホテルの庭に面した客室ということらしい。邦題を付けるなら「庭側の客室」というところだろうか。

この小説、私は未読だが、ロバートいう米国人作家の一人称で語られており、パリ愛に溢れた話とメディアでは紹介されている

パリ愛に溢れている?本当にその表現は正しいのだろうか?

あくまで想像ではあるが、パリへの愛をヘミングウェイが語る時、それはハドリー(最初の妻)とバンビ(長男)と暮らした瑞々しい若き日々へのノスタルジアであることが多い。A Room on The Garden Sideが書かれたのは1956年。「移動祝祭日」の執筆時期と近いので、人生の最良期といえるハドリーとの暮らしを複雑な気持ちで懐かしんでいる作品という気がする。美しいパリの描写の裏には、大切な人との幸せな暮らしを棄てたことへの悔いが見て取れるはずだ。

この時期のヘミングウェイだが、54年にノーベル文学賞を受賞したものの、同年に飛行機事故に遭い、満身創痍の状態でかなり衰弱していたと思われる。(当時の写真を見ると相当に老け込んでいる) 作家としても質量ともに衰えが目立つ。60年には鬱病、妄想症で入院し、61年に他界している。そのような衰微の時期に書かれた作品なので出来に期待はしないが、未発表作品が読めることは素直に嬉しい。

未発表作品が没後に世に出ることに疑問はあるが、この作品についてはヘミングウェイ自身が死後に発表して構わんと出版社に生前告げていたそうだ。晩年の地味な(あまり評価されていない)作品群に、最近とても惹かれる。華やかな魅力こそないが、そこには味わい深い悲喜があり、心に深く染み入ってくる。

 

アーネスト・ヘミングウェイ   おすすめ 5短編(入門編)

カズオ・イシグロの「夜想曲集」全短編の感想