「ガラスの街」 ポール・オースター

「ガラスの街」 ポール・オースター

スタイルとしては探偵小説風なのだが、探偵小説という形式を変形させる自由な感性がある。ただ、小説としては魅力的であるものの、ポール・オースターらしくとらえどころがなく、どう感想を書いたらよいものか戸惑っている。ポストモダンと言えばそういうことなのかもしれないが、面白さと偏狭さが交互にやってくるような感じで、独特の作風だと改めて感じた。

どういう話かというと、深夜の間違え電話に乗っかり、他人になりすまし探偵仕事を引き受けるという話。奇妙な依頼内容と謎めいた登場人物により、予想できない方向に人生が動いていく。

「ガラスの街」は、オースターを有名にした記念すべき小説第一作とのこと。はじめからスタイリッシュだったのがわかる。

オースターの文章は透明感が魅力と言われるが、そこは今ひとつピンときていない。原書で読むとまた印象が違うのだろうか。

本作に関しては、ミステリー仕立てでスリリングなどと形容されるが、それも個人的にはあまり感じなかった。そこまで切迫したテンションではないし、同化できる人物が出てこないのでドキドキしない。

自分探しをテーマにした思慮深い作品といった評価も多いが、それもなんだか賛同できない。オースターのことをよく知らないせいかもしれないが、もっと恣意的、あるいは偶発的という印象で、そこに深い思索がないとは言わないが、それほど意図的ではない気がする。

ポール・オースター作品ではよくあることだが、リアリティに欠ける偶然が多いことがやや気になった。笑って流せればよいが、どこかで少し醒めてしまった。

思ったことを羅列してみたが、結論としては、面白いことは面白い。ただ、日本の純文学に通じるような自意識みたいなものが個人的にはちょっと苦手。それなりに展開は激しいのだけれど、内向きな執着が強いというか、スポーツが足りないというか…。ファンの人からは「わかってない!」と叱れそうだが、個人的にはもう少し骨太な方が好みに合うかな。

読後に残る愛おしさを含む余韻は、オースター作品ならではという感じ。

文章がグダグダしてきたので、今回はここでおしまい。